JARECは不動産の専門家「不動産カウンセラー」「不動産戦略アドバイザー」を育成する、NPO法人です。

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2022 07/29
コラム
グローバルな資格取得のご案内

2021/02/01

vol.08


 

グローバルな資格取得のご案内

 


菊池 由美子
常務理事、国際委員長
不動産カウンセラー、不動産鑑定士
FRICS(UK)

ご案内の方も多いと思いますが、当協会は、RICS (Royal Institution of Chartered Surveyors、英国王⽴チャータード・サベイヤーズ協会、以下”RICS”)と業務提携をしており、本会不動産カウンセラーは以下の⼀定の要件が整えばRICSの定めるダイレクト入会(direct entry)でRICSの会員資格 (MRICS: Member of RICS)を得ることができます。グローバルに広く認知されるMRICS資格を得る方法は様々ありますが、不動産カウンセラーとして認定されていることで既に一定の専門性が担保されているという前提から、比較的容易にこのグローバル資格を得ることができるわけです。

ダイレクト⼊会のための要件
1. 本会会員であること(不動産カウンセラー認定者のみ)
2. 10年以上の不動産関連実務経験を有すること
3. 原則として4年制⼤学卒業資格を有すること
4. RICSの倫理研修を受講し修了証を取得すること(日本語受験可能)
5. RICSメンバー1名の推薦を受けること

ちなみに、RICSが認定している会員資格はAssocRICS(Associate members)、MRICS(Professional Members)、FRICS(Fellows)の3種類があります。
RICS (アール アイ シー エスまたはリックスと略称される)は、1868年に英国で設立された、土地・不動産・建物分野において屈指の伝統と権威を誇る大規模な国際的職業専門家団体です。会員向けに倫理基準、行動規範、技術的基準を提供するとともに、各国の政府やビジネス界に対して、専門家としての中立的な立場で様々な助言や提言を行っています。日本の不動産鑑定士資格と類似するとお考えの方も多いのですが、カバーする専門職業分野は遥かに広いものです。
実際、当協会と同様にダイレクト入会可能な日本の専門家団体・資格には、日本不動産鑑定士協会連合会の会員のみならず、不動産証券化協会(ARES)の証券化マスター、日本建築積算協会(BSIJ)の建築コスト管理士、日本コンストラクションマネジメント協会(CMAJ)の認定コンストラクション・マネジャーがあります。
また、RICSには以下17のプロフェッショナルグループがあり、ダイレクト入会の際に選択できますが、これを見ても不動産鑑定評価だけではないことがよくわかります。

1. 建築技能 Building Control
2. 建物調査・査定 Building Surveying
3. 事業用不動産 Commercial Property
4. 紛争解決 Dispute Resolution
5. 環境・資源有効活用 Environment and Resources
6. ファシリティマネジメント Facilities Management
7. ジオマティクス(空間情報科学)Geomatics
8. 機械・業務用資産 Machinery and Business Assets
9. マネジメントコンサルティング Management Consultancy
10. 鉱物資源・廃棄物管理 Minerals and Waste Management
11. 計画・開発 Planning and Development
12. 動産・骨董品・美術品 Personal Property/Arts and Antiques
13. プロジェクトマネジメント Project Management
14. 建築積算 Quantity Surveying and Construction
15. 居住用不動産 Residential Property
16. 農地など Rural
17. 評価 Valuation

さらに、RICSの考える資格取得可能な専門分野 (sector pathways)としては22分野あり、上記17分野と概ね一致しますが、以下のような分野からも資格取得可能として説明があります。

企業不動産 Corporate Real Estate
インフラ Infrastructure
不動産ファイナンス・投資 Property Finance and Investment
リサーチ Research
関連税務 Taxation Allowances
ビジネス評価・無形資産評価 Valuation of Business and Intangible Assets

上記の専門分野に関する日本語は当協会で便宜的に翻訳したもので、RICSが想定する専門分野を端的に表現できていない部分もありますので、詳細は以下のサイトを参照してください。どのような分野においてどのようなスキル・知識を持つ専門家に会員資格を与えることを想定しているのかが具体的に理解できます。
https://www.rics.org/en-hk/surveying-profession/join-rics/sector-pathways/

RICS会員となることのメリットは、海外顧客などに対しよりわかりやすい称号を得る、グローバルなネットワークを広げる、世界共通の専門性向上に役立つ研修にアクセスできる、などがあると考えます。是非MRICS資格の取得をご一考ください。前述のとおり、日本においてRICSと提携している団体、ダイレクト入会できる資格は限られています。当協会の不動産カウンセラーは、弁護⼠、公認会計⼠、不動産鑑定⼠、技術⼠、税理⼠、⼀級建築⼠、司法書⼠、⾏政書⼠、⼟地家屋調査⼠、社会保険労務⼠、中⼩企業診断⼠、弁理⼠、宅地建物取引⼠、マンション管理⼠のいずれかの国家資格を有する者または当協会で認定した不動産戦略アドバイザーを資格要件としています(その他要件があります)。このように不動産カウンセリングに関わる限り、幅広い資格の専門家を潜在的な会員として想定する当協会とRICSは本質的に親和性があると考えています。ご自身のみならず、周囲にMRICSの資格に興味がある様々な専門家に、不動産カウンセラーの認定を受けMRICS資格を取得するルートがあることを是非お知らせください。
申込詳細等は、当協会ホームページの「JARECの取り組み」の中にあります。

また、当協会は米国のCRE (Counselors of Real Estate) https://www.cre.org/ とも業務提携をしており、RICSのダイレクト入会というようなわかりやすい形ではありませんが、CRE会員登録の推奨も行っています。ご興味のある方は事務局までご相談ください。

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