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2022 07/29
コラム
MIAが目指す「点から線、線から面への地方創生」

2021/11/01

vol.17


MIAが目指す「点から線、線から面への地方創生」

 


山本 英次
不動産カウンセラー、不動産鑑定士
株式会社 日本エム・アイ・エー代表取締役会長
一般財団法人 MIA協議会 業務執行理事
株式会社 総合鑑定調査 会長

1. 世界はブロッコリー→どこを切っても同じ
例えば、私の出身の大分は東京から見れば1地方、私の住んでいる名古屋も又、東京から見れば1地方です。では、名古屋から見た大分は?これも又、1地方です。
グローバルな視点から見れば、もしパリが世界の中心だと考える人がいれば、東京も又、1地方と言えます。ニューヨークが中心と考える人も同様です。
世界から見れば、日本そのものが1地方だとも言えます。
逆に、ミクロで見れば、私の生まれた竹田市は、大分市から見れば1地方、また、竹田駅を中心と考えれば、長湯は、1地方です。
つまり、ある地点を中心と考えれば、それぞれ地方が発生する!
すなわち、世界はフラクタル(自己相似)→ブロッコリー→どこを切っても同じ形をしている!と言えます。

2. 人とお金の流れ→タウン&カントリー
これまでの地方創生は、地点開発が中心です。日本中から集めたお金を、地方のある一点にヒトモノカネを投資して地域開発する。地域おこししている人達は、その地域を活性化しようとその地域に投資する。面を作ることでなく、点を育てる事が結果的に全体を良くする、と考えられてきました。ブロッコリーのそれぞれの先端部を開発してゆく。結果どうでしょう?自己相似が増えるだけで、全体の形は変わりません。それぞれの地域に於いては大いに意味のある事ですが、全体イノヴェーションはなかなか起こりません。
人の流れから見れば、戦後、団塊世代までは、地方が拠点で、都会が地方だったと言えます。地方から都会に向かって、線的に人が流れる。列島改造の頃からは、都会(東京)から地方に線的にお金が流れるという事が行われました。しかし、都会から地方に人が流れる、という事は起こりませんでした。

3. 楽→豊かさとは?
文明は、人が楽をする為に成長してきたとも言えます。楽=「便利さ」です。
便利さを追求すれば、都会に集中するほうがベターです。便利さが極まってくると、余剰時間が生まれます。そこから、楽は→「楽しみ・遊び」に向かいます。ついでに、「楽しみ・遊び」も都会に作っちゃおう!→という事で、ますます、都会から地方への人の流れは、抑えられてきました。
産業革命的に見れば、19世紀までは、鉄の時代、20世紀は車の時代、そして21世紀は、ICT の時代と言えるでしょう。鉄は都市などに人が集中する事を可能にする技術、車は人と人、モノとモノを線的に結ぶ技術、ICTは、動かずにヒトとヒトを結ぶ技術です。
社会経済から見れば、ビジネスは「衣食住」がメインストリームでした、が、余剰時間の発生から、ビジネスは、「衣食住遊楽」がメインストリームになりつつあります。プロ野球球団オーナーの変遷を見れば一目瞭然です。
モノ造りからコト造りへ!本来、モノはコトを実現するための道具だったはずです。

4. ポストコロナ→集中から分散へ
新型コロナ禍で、「個」を中心に考えざるを得ない事になって、少し様相が変わりつつあります。しかし、収束後はどうなるでしょう?
ある意味、今が、地方創生にとって千載一遇のチャンスだと言える事は確かです。
三密に象徴される「集中」から、ソーシャルディスタンスに象徴される「分散」へ。面会型ビジネスからリモートビジネスへ。集団遊楽から、個別遊楽へ。街賑わいからステイホームへ。いずれも、ICTが莫大なサポートをしています。
東京や都会に集中しなくても、ビジネスはできるし、豊かな暮らし、個々の楽しみは、満喫できる。「衣食住遊楽」の実現は、「集中」が必須では無い、という事への気づきです。
まさしく、パラダイムシフトだ、と言えます。

5. 私達が進めてきた事→あちこち暮らしとパスポート
2007年問題と言われた団塊世代の退職期を見据えて、「中期滞在研究会」=「あちこち暮らし・ミディアムステイ倶楽部」を、中部ニュービジネス協議会内に立ち上げ、移住定住、お試し滞在、中期滞在、テレワークや新しい働き方や余暇の過ごし方を研究してきました。その後、MIA協議会に舞台を移し、自治体や全国県人会への支援等を含め、その活動を続けてきました。
そして、2016年、ふるさと納税の過剰返礼品問題を契機に、「来てもらう為のふるさと納税」を推進すべく「ふるさと納税パスポート」発行に至りました。

6. 現状→スタンプステーション
ふるさと納税のみに頼る事なく、あちこちステイを実現すべく、ミディアムステイパスポートを発行、全国にスタンプステーションを展開して、スタンプラリーを楽しみながら、お得に周れる仕組みを構築し、現在進行中です。「ふるさと全国いい店めぐり」です。
スタンプステーションでは、パスポート販売店として、独自のオリジナルパスポート発行も支援し、お店のPRの為のホームページ「ミディアムステイサービスサイト」やFacebook、インスタグラムでの発信も行っています。名古屋、東京、大阪、始め全国にステーションが展開されつつあります。
同時に、オリジナルパスポートとして、NPO日本で最も美しい村連合パスポート、歌舞伎ソムリエパスポート等、ある意味、会員証としてのパスポート発行もお手伝いしています。紙製のパスポートのみでなく、スマホ向けパスポートアプリも準備されています。
それぞれの地域で魅力的な拠点を作り、人々がそれを求めてあちこち移動し、関係人口を育て、定着を促して行く。という民間型・流動型地方創生の始まりです。

7. 課題とこれから→面的連携と時系列的連携
パスポート&ステーションで、フラクタルの尖端である、都会と地方、地方と地方を線で結び、線の間を塗りつぶして面に展開する事。これによって、日本を1つの地方に塗り替え、世界に発信する事。
会員証型パスポートでは、過去・現在・未来を結び、伝統文化や音楽、美術、芸術等の継承・進化と、地域文化の掘り起こしや繋がりを応援する事。
地域を伝統文化そのものと考えれば、横の広がりと縦の繋がりを紡ぐ事こそが、今我々に与えられた地方創生への責務だと考えています。
キーワードは、「連携と共感」です。
これまでの「地方創生」は、国や行政のお金を頼りに進められてきた感があります。これからは、逼迫する財源に頼らず、民間人が地域経済を興し、行政がスポンサリングする「地方民発」という形をメインに考える時と考えられます。

8. MIAは、自治体経営、地域経営事業をサポートする全国60の団体から成るネットワーク組織
北海道から沖縄まで、不動産鑑定事務所、公益社団法人、一般社団法人、組合、弁護士、公認会計士、土地家屋調査士、建築士、宅地建物取引士、税理士、測量士、建設コンサルタント、補償コンサルタント、IT企業、地域経営コンサルタント、固定資産業務管理士、等多様な企業・団体・専門職業家が参画しています。
組織は、資産評価委員会、公会計委員会、公共事業委員会、リスクマネジメント委員会、まちづくり・地方創生委員会、ICT推進委員会より成ります。
地方創生は、これら事業の一環で、パスポートはその中のひとつのモノですが、地域と地域、人と人を繋ぐ、「新しい暮らし方」「新しい働き方」そして「新しい地方創生」というコト造りのひとつの道具として、お役に立てれば幸いだと考えています。

不動産カウンセラーのメンバーにも、多くのMIA協議会参画メンバーがおられます。今後様々な連携が進む事を期待します。

ミディアムステイ倶楽部HP(下QRコード)
<ミディアムステイ倶楽部は、「地方創生」を推進する団体>

 

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