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2022 09/16
コラム
コロナ禍での雑観

2022/09/15

vol.19


 

コロナ禍での雑観

 


福田 勝法
不動産カウンセラー、不動産鑑定士
不動産カウンセラー協会理事
(株)鑑定ソリュート佐賀

1.コロナ禍の功罪
中国の武漢市が、新型コロナウイルス感染症による感染拡大を防ぐために、2020年(令和2年)1月23日に武漢市の都市封鎖を行ってから、2年8ヶ月が経過した。
この間、コロナ株は変異を繰り返し、世界中に蔓延、グローバル化の象徴である人流に大きな影響を与え、経済的にも工場閉鎖等により生産活動を停滞させ、これまでのような社会経済活動様式は大きな転換を余儀なくされた。
日本は、現在第7波の渦中にあり、感染者数は第1波~6波に比べると爆発的に増加しているが、ワクチン接種等の効果もあり、重症化リスクは軽減している。
コロナ禍の功罪は単純には語れないが、人の行動への関わりは大きい。緊急事態宣言下、行動変容を余儀なくされ、ECに象徴される巣ごもり消費や通勤地獄?から解放されるリモートワーク、テレワーク、ワーケーション等、人の行動はコロナ禍によりデジタル社会が加速し、消費、働き方の選択肢が、現実空間、サイバー空間と多様化、激変した。

2.アフターコロナ
この行動変容がコロナ終息後も習慣化、定着するのかという予測は困難であるが、少なくともECの市場拡大や一部企業で導入された在宅ワークの流れは止まらないと思われる。ICTの急速な普及とそれによる便益を一度享受した人は、対面によるコミュニケーションの重要性は十二分に理解したうえで、空間(場)は共有できないが、時間の同一性と大きなメリットである効率性を重要な選択指標と考えるのではないだろうか。

3.オードリー・タンさんの問題意識と不動産カウンセラー
ICTといえば、ミレニアル世代、Z世代と、多様な情報をもとにフラットな目線で判断できる世代の台頭は著しく、今回のコロナ禍でも台湾のデジタル担当政務委員(大臣に相当)として、感染者の足跡を辿るアプリの開発行い、世界的に有名になったオードリー・タンさん(アップルでSiriの開発にも関わった)。
タンさんは、これからの10年に必要な能力はとの質問に、「今の世の中で問題に直面した際、一人の力だけで解決することは非常に難しく、多くは異なる専門知識、異なる文化背景を持った人に頼って解決しなければなりません。ですからこれからの10年間で私たちが最も力を入れて育成すべきコア・コンピタンスは、自発、相互、協働」と答え、「自分の視点で考え、分野や世代、地域を超えて、同じ問題を解決しようとする人たちがタッグを組み、寛容さと相互評価の態度で、一緒に解決策を考えていくこと」が重要だと述べている。
まさしく、異なる専門知識、異なる文化背景を持った人の集団で、不動産のあらゆる問題解決に向けタッグを組み、分野や世代、地域を超え、一緒に解決策を考え、社会の利益に寄与せんとする不動産カウンセラーの目指す方向性と同じではないだろうか。

4.これからは?
Society 5.0の時代、人と人との知識や情報の共有がICTにより可能になった。これからもっと技術革新が進み、どのような世界が見えてくるのか。X世代、Y世代よりはるか昔の旧々世代としては、タンさんの心がけの一つである「新しい習慣を身につける」 ことを覚悟、実践し、時代の流れに遅れぬよう自助努力するしかないのだろう。負うた子ならぬα世代に教えられる時代がまじかに迫りつつある。

 

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