JARECは不動産の専門家「不動産カウンセラー」「不動産戦略アドバイザー」を育成する、NPO法人です。

ENGLISH
2022 07/29
コラム
銘酒「道行竈」つれづれ

2021/05/10

vol.11


銘酒「道行竈」つれづれ


池田 太一
不動産カウンセラー、不動産鑑定士
株式会社財団評価研究所

 

はじめに

不動産カウンセラーの皆様お久しぶりです。
ご無沙汰しております。現在三重県南伊勢町の NPO 法人「チーム道行竃」のボランティアとして酒造り業務のお手伝いをしています。

1.竃のいわれ

同町の道行竃地区は人口137人の限界集落です。 この地域には地名「竈」という字がつく「竈方(かまがた)」と呼ばれる7つの集落があります。
約800年前に平家の子孫が移り住み、1400~1600年頃には製塩で生計を立てていた歴史上、塩竈の「竈」がその地名の由来となっています。製塩が行われなくなった現在でも、平家の子孫の証である古文書は「御証文」と呼ばれて神聖視され、旧正月の神祭に厳重な受け渡し式が行われています。

2.チームについて

「チーム」は代表島田会長と島田前区長を中心に移住者を増やし耕作放棄地を減らすことを目的として活動しています。
私どもは微力ながらこの耕作放棄地を減少させ地域を存続をさせるという趣旨に賛同しみんなで協力参加することにしました。
古来「平家の隠れ里」として1000年続く集落ですが、これといった産業はなく半農半漁が成業で生産効率は悪く人口流出が常態化しています。
特長は周辺の山からの伏流水はミネラルが豊富で水質に恵まれ上質な酒米を作るには最適の土地柄です。

 

3.課題

酒を作るにしろ、素人集団で、どのように酒が精製さるのかも解から無いので、専門の酒造メーカーに協力を求めたところ応援する酒造メーカーが現れ、その企業の指導のもと白紙の段階から「酒づくり」に着手しました。
総員で耕作放棄地に入り、田を耕しもみを育成すことから「酒米作り」を始めました。
苗品種は三重県産「神の穂」を使用し、5月に植えてから数回の除草を行います。
特に夏季の除草は厳しいですが、地元リーダー、同志、皇學館大学、東京大学の学生の献身的な努力により優良な酒米の製造までこぎつけました。

4.酒の醸造および販売

日本酒の醸造は伊賀市若戎醸造にお願いし、 純米大吟醸であるが普段の食事に合わせ軽く飲みやすい純米大吟醸に仕上げました。
幸いにも山形の銘酒「十四代」を手掛けた杜氏高松氏の指導のもと三重県の酵母菌 MK1、MK2、MK7、各酵母の配合に成功しフルーティー、切れ味良い日本酒「道行竃」を作ることに成功しました。
昨年度の秋の灌頂祭において金賞をとったことはその品質の高さを証明しています。
販売面は「ふるさと納税ポータルサイトふるさとチョイス」のオンライン上で開く特別配信を活用しました。
当酒はフルーティーな香りと口当たり爽やかさ味が特徴です。 2000本限定で一本720 mm を1,980円別に贈答用の箱入りも用意しました。一升瓶は100本限定で3,960円、他に「ふるさと納税返礼品」になったお米は2 kg 入り900円で販売しています。
現在まで関係者一同の皆さんのご協力もあり全商品売却され、出だしは好調です。

おわりに

このように全国にコロナが蔓延する中、地方では罹患者も少ないので気楽に活動しています。しばらくは移動が制限されますが、南伊勢町の水と空気に恵まれた環境で「米作りと酒造り」を楽しんでいます。ご都合つけば是非皆様銘酒「道行竃」を味わいにお越しください。

JAREC facebookページへ
ページトップへ